自治体の制度融資とは

制度融資とは、地方自治体と金融機関、そして信用保証組合の3者が連携して行っている融資のことを指します。
主に中小企業など小規模な事業者を対象とした融資で、日本政策金融公庫のものと似た性質を持っており、長期の返済期間や低金利である点が特徴です。
民間で融資を受けることが難しい事業者のために用意された制度、という側面ももちます。
各自治体に、制度融資を取り扱っている機関があり、たとえば東京都であれば東京都産業労働局などが該当します。
民間の金融機関から借入をできない。つまり信用力が足りない企業と金融機関の間に入ることで、自治体は本来成り立たなかった融資を成り立たせる役割を担います。
では、冒頭に挙がったもう1者である信用保証組合とは、どのような存在なのでしょうか。
信用保証協会とは
簡単に言えば、企業が金融機関から融資を受ける際の保証人になってくれる存在です。
銀行が審査を厳しく行う理由は、万が一融資先が倒産した場合に貸し倒れとなるリスクを懸念するからです。
しかし、公的機関である信用保証協会が保証人につくことで、銀行にとって貸し倒れのリスクは大幅に軽減されます。
結果として、本来審査で落ちるような企業でも融資が受けられるようになるのです。
保証してもらうにあたり、保証料を払う必要がありますが、こちらも自治体によっては一部負担してくれます。
制度融資のメリット

制度融資にはいくつかのメリットがあります。それぞれ確認しましょう。
審査が比較的緩い
そもそもこの制度が用意された目的が中小規模事業者に対する補助、であることから、審査は比較的緩い傾向にあります。
現状が厳しい状況でも、将来的な展望や復活の道筋さえしっかり示せれば、前向きに検討してくれます。
金利が低い
金融機関が融資を受ける際の金利の一部を、自治体が負担してくれるため、結果として金利が低くなります。
支払いは長期に渡るものが多いため、金利の高低はトータルでの支払い額に大きく影響します。
自治体によって負担の割合など細かい部分は異なりますが、制度融資の大きなメリットと言えるでしょう。
返済期間が長い
返済期間を長期にした上での借入ができます。
むしろ、長期間に渡る融資がほとんどを占める、と言ってもよいでしょう。
設備資金への融資で最長10~15年、運転資金の場合で最長7~10年という長期に設定が可能です。
制度融資のデメリット

ここまでメリットだけを見ると、利用しない手はないほど素晴らしい制度に見えます。
たしかにそれは間違いではありません。
しかし、メリットの裏側には、かならずデメリットも存在します。確認していきましょう。
融資実行までかなり時間がかかる
融資実行までに要する時間は、日本政策金融公庫のそれと比べてもさらに長く、3カ月程度は見る必要があります。
これは、単純な金融機関との直接的なやりとりだけでなく、自治体や保証協会が関係してくることからも、仕方ないでしょう。
時間的な余裕がない事業者には不向きです。
融資額の限度は低め
限度額ももちろん各自治体・融資制度によって異なりますが、おおよそ500万円~3000万円程度と見てよいです。
あくまで小規模事業者の支援、を目的に用意された仕組みですので、それ以外の目的には適しません。
制度融資を利用するには

制度融資を利用するにあたり、まずは各自治体の窓口で相談するところから始める必要があります。
そこで融資が可能と判断されれば、さっそく金融機関へ申し込みをする運びとなります。
利用可能かの判断材料として、前提となる条件があります。
各自治体によって細かい部分は異なりますが、おおよそ以下の通り。
- 中小、小規模企業であること
- 該当自治体に事業所があること
- 信用保証協会の対象業種であること
- 許認可、登録、届け出などが必要な場合、取得していること
- 設立5年未満であること
日本政策金融公庫の融資は全国どこの企業でも利用できるのに対し、制度融資は各自治体内に所在している企業しか対象となっていないところがポイントです。
これらの条件や融資実行までの所要時間をよく確認し、利用できるようであれば検討しておいて損はないでしょう。